資料室

―  長良川の概観  ―

  • 源流は大日岳(1709m)の久谷と見当山(1352m)から流れる本谷の2説ある。
  • 全長159km、県内流長136km,約87%が県内を流れる岐阜県の川である。
  • 源流より白鳥町北濃付近までが上流域、白鳥町から岐阜市河渡橋付近までが 中流域、河渡橋より下流が下流域(学者によっては郡上八幡より上流を上流域、郡上八幡~岐阜市長良付近までを中流域、それより下流を下流域に区分)
  • 揖斐川などに比較すると、全体に緩やかな傾斜の地形の中を流下している。
  • 比較的上流部まで人家があり、古くから人が利用してきた。
  • 岐阜市は山地と平野の境に位置し、長良川が作った扇状地(雄総あたりを扇頂)の上に発展している。

 河川形態型

上流域 山地渓流区(源流~高鷲村穴洞付近) Aa型
中間渓流区(穴洞付近~美濃市板取川合流点) Aa-Bb移行型
中流域 中流区(美濃市板取川合流点~岐阜市忠節橋付近) Bb型
下流域 下流区(忠節橋付近~長良大橋付近) Bb-Bc移行型
下流区(長良大橋付近~河口) Bc型


型の分類

淵へ流れ込む様子で 一つの曲流に瀬と淵がいくつかある場合 A型
一つの曲流に瀬と淵が一づつの場合 B型
淵へ流れ込む様子で 滝のように落ち込む場合 a型
波立ちながら流れ込む場合 b型
ほとんど波立たない場合 c型



―  長良川の魚類  ―

  • 昭和32年3月岐阜県発行の「長良川の生物」によれば31科56属66種が記載されている(汽水魚4種、沿岸魚16種を含む)。淡水魚・溯河魚、降海魚として46種 。 
  • 平成11年2月18日刊行の環境庁 レッドリストで、
    ・絶滅危惧IB類(EN)・・・スジ シマドジョウ小型種東海型、ホトケドジョウ
    ・絶滅危惧IA類(VU)・・・スナヤツメ、アカザ、メダカ、クツセミカジカ
    ・絶滅の恐れのある地域個体群・・・ハリヨ
  • 昭和62年2月発行の「長良川の 魚」(駒田格知)著によれば1976~1986の10年間に調査で採補された魚の種類は42種と記載されている。

  小瀬 保戸島 藍川橋 長良 鏡島 墨俣 古津・千鳥橋下流 グランドホテル前
イワナ                
アマゴ                
サツキマス        
アユ +O +O
ウナギ   +O  
アブラハヤ ±    
ウグイ +O +O
カマツカ +O   +O  
ゼゼラ              
ニゴイ +O
オイカワ +O +O    
カワムツ +O      
カワヒガイ +O   +O    
アジメドジョウ        
シマドジョウ   +O  
ナマズ    
アカザ +O   ±  
ギギ +O   ±    
カジカ ±O    
カマキリ        
カワヨシノポリ +O
チチプ        
ウキゴリ              
タイリクバラタナゴ            
シマヨシノポリ              
メダカ            
スズキ              
ボラ              
ホンモロコ              
ギンブナ              
モツゴ              
ヨシノポリ              

+・±印:長良川の生物1957、長良川1974年のデータ
O:長良川の魚1987年のデータ
●:千鳥橋・グランドホテル前1997年のデータ



―  長良川の川原の石  ―

  • 火成岩として 流紋岩、安山岩、花崗岩
  • 堆積岩として 砂岩、頁岩、礫岩、石灰岩
  • 変成岩として チャート
  • 上流部に母岩がある。
  • 長良川の河床の基盤岩は中・古生層のチャートと頁岩(泥岩)であり、 その上に砂岩・頁岩・角礫岩の手取層(板取川北部)、花崗岩・石英 斑岩の貫入、石灰岩の貫入がある。
  • 新生代に入り、鷲ケ岳・大日岳の噴火に伴う安山岩(輝石安山岩、石英安山岩)が憤出し載っている。



―  長良川の野鳥  ―

  • 岐阜市内で年間を通じて確認された野鳥は、48科205種に上っている。
  • 野鳥は大別して、留鳥、渡り鳥、漂鳥にわけられる。
  • 環境庁の1997年のレッドリストで、絶滅危惧種90種、準絶滅危惧種14種のうち 岐阜市内で観察記録のあるものは19種、内繁殖が確認されているものはオオタカ、コアジサシ、ハチクマの3種である。
  • 岐阜市内の貴重種として考えると、市内で絶滅する恐れのある野鳥としてササゴイ、ハチクマ、オオタカ、コアジサシ、フクロウ、サンコウチョウの6種

適切な対策が必要な種として、
サシバ、バン、タマシギ、シロチドリ、アオゲラ、セツカ、キビタキ、オオルリ
の8種が挙げられている。

 貴重な野鳥の繁殖地

ササゴイ 県内で美濃加茂市と岐阜市のみ繁殖を確認、岐阜市は寺田、下奈良
コアジサシ 下奈良、岩倉町地内の長良川河川敷で繁殖
セッカ 河川敷、休耕田の草地に生息、チガヤの穂を編んで巣を造る



―  川原の植物  ―

  • 川原は水辺から岸に向かって、「不安定帯」「半安定帯」 「安定帯」に区分できる。
  • 不安定帯は、少し雨が降ると水中に没し、日照りが続くと川原になる 地域で、植物の種類は少なく、また絶えず変化している。
  • 半安定帯は数年に一度の割合で冠水するが、草丈の高い雑草から 小灌木まで生育する。
  • 安定帯は数十年に一度冠水する程度で、河川林を形成する。
  • 長良川では、岐阜市内の古津の竹林、雄総のエノキの大木群落が 貴重である。
  • 河川林は野鳥や哺乳動物の生活場所になっている。
  • 川原は帰化植物の宝庫であり、新しい植物が繁殖しやすい。
  • 薬草や食べられる野草も多く、野草を楽しむ人が多い。クコ、キササゲ、セイヨウカラシナ、ヨモギ、ツクシ等



―  昆虫  ―

  • 岐阜市自然環境実態調査報告書(2000年)によれば、 岐阜市内で確認された 昆虫は13目、188科、1870種記載されている。(トンボ目、コウチュウ目、ハチ目、チョウ目)
  • 長良川の堤防あるいは河川敷から79種の昆虫が確認されている。(同上報告書)
  • 長良川周辺の貴重種としてアオハダトンボ(加野)、ムカシヤンマ (古津、長良)、 ヒメサナエ(日野)、ムシクサコバンゾウムシ(長良川河川敷)、コヌカアリ(雄総河川敷林)が記載されている。



―  長良川流域一斉環境調査  ―